第43号 

WS通信7月号

6月30日午前11時半頃「のぞみ225号」1号車で、職業不詳林崎春生(71)が、ガソリンをかぶって焼身自殺をしました。巻き添えをくった乗客の女性1名が死亡し、重軽傷を負って病院に運ばれた人も20数人にのぼりました。

直接被害を受けた人たちに加えて、この列車が止まり、新幹線が不通となったため、他の交通機関を利用したり、移動の目的を断念せざるをえなかったり、この事件によって迷惑をこうむった人の数は相当数にのぼることでしょう。

今回事件を起こした林崎という容疑者は、清掃会社をやめたあと、年金の支給額が少なくて生活ができないと周囲にもらしていたそうです。また「いっそうのこと、年金事務所の前で自殺をしようか」という冗談ともとれる発言をしたこともあったといいます。

日本がまだ高度成長期にあった頃、年金受給を開始した人たちは、老齢年金と失業保険の両方が支給されたり、物価スライドによって支給額が右肩上がりであったり、恵まれた環境にあったことは事実です。

しかし、この人たちの青春は、戦争が暗い影を落とし、艱難辛苦を強いられました。

そして、焦土となった日本の戦後復興を担い、成し遂げた立役者で、その功労に対する恩返しと解釈すれば、辻褄が合うのではないかと思います。

現在の年金支給水準では、年金のみの生活がかなり厳しいことは確かです。

しかし、これからも続く少子高齢化は、改善どころか、すべて65歳開始となり、開始年齢の引き上げがテーマになるなど、今以上の厳しさを強いることになるでしょう。

この問題の解決には、年金のみでは生活できない人が、希望すれば働ける環境を創り出すことが必要です。わが社は、そのために高齢者の職場開拓をおこなっていますが、なお一層の努力をせねばならないと考えています。

私が学生だった頃、「フランシーヌの場合」というフォークソングが流行ったことがありました。フランシーヌという30歳の女性が、ベトナム戦争などに抗議して、拡大パリ会談が開かれていた会場から少し離れた路上で、焼身自殺した事件を題材にしたものでした。

反戦と年金それぞれ見過ごせない重要な社会問題ではあっても、その不満のはけ口に、他人の生命や生活を巻き添えにするような行為は、決して許されるものではありません。

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